ご本尊にたずねる生活を

–あなたはあみだ様から願われています

 真宗門徒は、念仏を生活の中心にしてきました。仏さまの名(みな)を口に称えつつ日々を暮らし、お寺やお内仏に安置されている「南無阿弥陀仏」と書かれた名号や阿弥陀如来の木像や絵像を「ご本尊」とお呼びし、大切にいただいてきた歴史をもっているのです。その尊さは、文字や像そのものにとどまるではありません。

 私たちがどのような人間であっても、一人ひとりを差別なく、平等におさめとって捨てない仏のはたらきこそ尊く、そのはたらきを文字や絵像によって表現し、真実信心を大切に受け継いできたのが真宗門徒の歴史です。

 仏さまはだれも見捨てません。私たち一人ひとりが、仏さまから真実の世界に目覚めることを願われて生きているのです。仏さまの願いに出あうことによって、誰しも人生をむなしく過ごすことがなくなるのです。そこから、混迷する現代のなかにあって、私の人生の意味が問われてくるのでしょう。いま、一人ひとりが生まれてきた意味をたずねて、ご本尊を中心とした生活をいたしましょう。

–ご本尊について

※ご本尊図解について・・・図解の中の「印相」という言葉は、真宗にはなじまないものです。また肉髻珠や白毫は仏の「三十二相八十随形好」のうちの一つで、他にも仏のお姿の特徴があります。ここではご門徒の皆様が興味を持たれることを念頭に、阿弥陀如来のお姿の一部を取りあげて解説をしています。

阿弥陀如来の後光(※1)について

 阿弥陀如来の後光(光明)は、四十八本描かれています。それは、阿弥陀如来の本願(四十八願)の数に由来するものです。

 四十八願のなかで親鸞聖人が大事にされたのが「第十八願」(※2)です。それは〔お念仏を称える人はどんな人でも「えらばず、きらわす、見捨てず」に救います〕ということを誓われた本願だからです。

 後光は、阿弥陀如来のはたらきが私たちに届く様子をあらわしています。まさに光のごとく、一瞬にしてまんべんなく私たちに届けられるということです。

※1「後光」の表記について・・・「後光」という表現は、仏像の後ろにある光という意味で、仏像を観察した時の言い方です。大谷派のご本尊は、『大経』上巻末の「華光出仏」を表したものであると受けとめられています。華光出仏とは華から光が出て、その光から仏が現れたという意味です。つまり光明から仏が出たということで後光という言葉とは逆の意味です。後光とは一般的な仏像鑑賞おいう視点での言葉ですので、真宗のご本尊の用語としてはふさわしくはありませんが、なるべく平易な解説をするという方針によりこのような表現をしています。

※2「第十八願」の説明について・・・親鸞聖人は、第十八願だけでなく、第十一願、第十二願、第十三願、第十七願、第十八願、第二十二願によって真実の教行信証及び真仏土が成り立っていることを顕されています。しかしながら、ここでは第十八願が中心であることを知っていただくことを願いとして、このような表現をしています。

阿弥陀如来のお姿について

 阿弥陀如来のお姿は、私たちをおさめとって捨てないという「摂取不捨(せっしゅふしゃ)」のはたらきをあらわしています。生きることに苦悩する私たちを一人も残さずおさめとるという〔無条件の救い〕を誓う慈悲の心をあらわしています。

 阿弥陀如来は、私たちの世界から遠く隔たった浄土にとどまっているのではありません。阿弥陀如来の像が立っておられるのは、あらゆる衆生(しゅじょう)を救済するために私たちに寄り添っておられるからです。この立っておられるお姿は、苦悩する私たちを見るに見かねて立ち上がり、私の前に立たれているお姿なのです。

なぜお内仏のご本尊は、本山(真宗本廟・東本願寺)からお受けするのですか?

 本山に安置されている阿弥陀如来像は、宗祖親鸞聖人が帰依しておられるご本尊であります。そのご本尊を直接お迎えするための意味が込められています。

※本山の阿弥陀如来像について・・・本山(真宗本廟)の阿弥陀如来像は、蓮如上人から暦代門首へと相伝されてきたとされる『稟承余艸(ほんじょうよそう)』の「一 真宗本尊之事」の項に「報身の仏体、報土より娑婆海に顕現し本廟に影向したまう姿なり。(中略)しかれば自余の仏像は凡夫の方よりこれを立つ、当流の仏像は彼の方より影向したまう」とあることから、浄土の阿弥陀如来が影向したものであるとされています。また、「五 在家本尊之事」の項には、「在家の輩、他力真実の信心決定することは、本廟顕現の化仏かう寺院影向の利益によりてなり。故に真実に敬重仰崇の意地に住し行来進止、報恩の覚悟をきわむ。この誠意を冥察さたまい、在家の閨房(寝室)に至るまで分身影向したまうなり。然れば報身如来の覚体より在家安置の尊形にいたるまでは、僅かに三転分身化作の尊容なりと伝うる所なり」と、ご門徒へ授与している本尊は真宗本廟の阿弥陀如来の分身影向した姿であることが記載されています。

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