ネットDE仏教〔第四回〕

ご法事をリモートで!

2021.7.30更新

 現在、コロナ禍によって遠方の人と直接会えない状況が続いています。そのような状況で、やむを得ずご法事を身近な人のみでつとめたり、あるいは全く行わなくなってしまっている事態となっています。

 「ネットDE仏教(第二回)」では、インターネット会議ツールである「Zoom(ズーム)」を用いた活用方法をご紹介しましたが、今回はご法事やご葬儀をリモートで(遠く離れた人と一緒に)お参りしていただく「リモート法事」を実現するために、利用環境を整える具体的な方法をご紹介します。

【お寺での利用環境を整える】

(1) インターネットプロバイダと契約する

 お寺の本堂においてリモートでご法事を実現するために、インターネットに接続できる環境が必要となります。インターネットプロバイダ(ISP)とは、インターネットサービスを利用するためにインターネット回線を提供してくれる業者のことです。現在では一般の固定電話回線を使用するADSLと、固定電話回線とは別の光回線(光電話)が主流になってきています。音声と動画の通信を行うZoomにおいては安定した高速通信が必要となってきますので、できるならば光回線を利用するのがお勧めです。

 なお、スマートフォンなどで携帯電話回線の通信で行う場合はプロバイダとの契約は必要ありませんが、通信量によっては高額になってしまう場合があります。

(2) ルーター機器の準備

 インターネット回線は、ADSLであれば電話回線のモジュラージャック(電話線の差込口)のある場所、光回線であれば屋外の光回線ケーブルを取り込む場所から、ルーター等を通してパソコンに接続して利用します。ルーターとは、外部のインターネット回線と、利用するパソコン等の端末と中継をする役割をもつものです。こちらもインターネットをする上では必要な機器となります。また、ルーターにはWi-Fi(ワイファイ)という無線通信に対応したものもあります。Wi-Fiは主にスマートフォンでインターネットに接続する場合に利用されます。通常、スマートフォンでインターネット通信を行う場合は携帯会社の通信使用料がかかりますが、Wi-Fiで接続する場合には携帯会社の通信を行わないので使用料はかかりません(携帯会社の通信使用料金は、通常使用量に応じ高くなっていきますが、ADSLまたは光回線ではその月額使用料のみで通信量を気にする必要がありません)。ルーターは、プロバイダとの契約時に一緒についてくるものもあります。

(3) 本堂までのネット環境整備

 ご法事等を行う本堂においてインターネットに接続できるようにするためには、有線(LANケーブル)を使用する場合と、無線(Wi-Fi)を使用する場合が考えられます。

メリットデメリット使用端末
有線(LAN)・ルーターと本堂との距離にかかわらず通信が安定かつ高速・ルーターから本堂までの配線が必要
・LANケーブルの届く位置でしか利用できない
ノートパソコン
無線(Wi-Fi)・電波の届く範囲であれば利用場所を問わない・場所や距離によっては通信がやや不安定(中継器など必要になる場合がある)ノートパソコン、スマートフォン、タブレット

 一般的なWi-Fi機能付きのルーターは一戸建ての家屋を想定しているので、お寺のような広い建物においては1つのルーターでは電波が届かないことが考えられます。その場合、中継器と呼ばれるWi-Fi電波を増幅して中継してくれる機器を取り付けることで、比較的安定して通信を行うことができるようになります。また距離が近くても、壁で遮断されたりすると極端に通信速度が減少する可能性もありますので、いくつも中継器を置く必要がある場合も出てきます。基本的に無線通信は遠く離れるほど通信が不安定になりますので、まずは有線を利用できないか検討しましょう。

(4) パソコンと周辺機器の準備

 本堂でZoom等を利用する場合は、持ち運びが便利なノートパソコンかスマートフォンを利用する方法があります。スマートフォンを利用する場合はWi-Fi環境が必要になるため、有線環境ではノートパソコンを利用することになります。

 最近のノートパソコンはウェブカメラが標準装備されているものが殆どです。ですから、ノートパソコンさえ揃えればリモート法事を使用できる環境は整ってしまいます。しかし、本堂のような広い場所で行う場合は、集音用マイクを別途用意しないと視聴者が聞こえづらいという状況になりうるでしょう。最近ではネット会議用のマイクが販売されています。またノートパソコンについているウェブカメラは、画面側に固定されているのが殆どですので、写す方向を変えたい場合は別途ウェブカメラも必要になります。どちらもそれほど高価なものではありませんので、あったほうが便利でしょう。

(5) 利用環境が整ったら

 ノートパソコン等を使ってインターネットに接続できるか確認をします。無事インターネットにつながったら、あとはZoom利用手順に従ってリモート法事を実行するのみです。(Zoom利用方法については「ネットDE仏教・第二回」を参照ください)

(6) 会場レイアウトについて

 本堂で行うリモート法事は、以下のような配置図になることが想定されます(三角形はウェブカメラが写す範囲を示す)。リモートの参列者からは、ご本尊とおつとめをする僧侶が見えることが必要となるでしょう。「配信機器」の位置にノートパソコン、ウェブカメラ、マイクを置きます。有線(LAN)を利用する場合は、この位置にLANケーブルが届くようにする必要があります。

(7) リモート法事を実施するにあたって

 実際にリモート法事を実施するにあたり、Zoomの準備、リモート参列者の確認、法要中のトラブル対応など、法要の準備と同時に行うため一人では対応しづらいことが想定されます。それらのことを踏まえて、あらかじめ何度か試行して慣れておく必要があるでしょう。

【自宅やホールでのリモートについて】

 ご自宅やホール等でリモート法事を行いたいというご門徒さんもいらっしゃるかと思います。ご自宅の場合は、インターネット環境が整っていればそのまま利用していただくことになりますが、自宅以外のホール等で行いたい場合は、そのホール自体がインターネット環境が整っているかどうかによります。どの場所で行うにしろ、インターネット環境がない場合はスマートフォン等で携帯電話会社の通信を使って行うことになります。その場合は、契約しているデータ通信プランを確認して、リモートを行うだけの通信量に対応しているか知っておく必要があります。

響流~WEB版~ トップへ戻る

コメントは受け付けていません。